エゴノキは、日本で古くからなじみ深い樹木の1つです。
かわいらしい花とは裏腹に毒素があり、同時に薬にも使われる成分を含む実をもつなど話題は尽きません。
そんなネタが豊富なエゴノキの花言葉、実の毒や薬成分などについてご紹介していきましょう。
エゴノキの基本情報
科・属名:エゴノキ科・エゴノキ属
学名:Styrax japonica
和名・別名:エゴノキ(野茉莉)・チシャノキ、チサノキ、シャボンノキ、ロクロギ
英名:Japanese snowbell 原産地: 日本、朝鮮半島、中国
開花時期5~6月
花色:白、ピンク
誕生花:5月7日
エゴノキの特徴
エゴノキは、昔から日本でなじみのある落葉性の高木で、北は北海道から南は九州・沖縄までと広く日本全国に分布していて、日当たりの良い雑木林の中で良く見られます。
浅く切れ込みの入ったギザギザの葉っぱが特徴です。
手間もかからず、春から夏にかけて鈴の形をしたかわいらしい白の花とつけることから庭木としても人気です。
歌舞伎の演目でもエゴノキが「チシャノキ」「チサノキ」の名称で使用されていたり、将棋の駒を作るための材料とされていることからいかに日本人となじみ深い樹木であるかがわかります。
エゴノキの材は黄白色をしていて緻密でとても粘り気が強いことから工作しやすい特徴を持ち、お椀やこけしなどの彫刻材などにも用いられています。
花はほのかに甘い香りを放ち、開花時期を過ぎたら花ごと落ちるという独特な散り方をします。花がなくなった後に灰白色をした実ができます。
かわいらしい花とは裏腹に、実の皮には、エゴサポニンという有毒物質が含まれています。
この成分によって実を噛むとえぐみがでてくるのですが、このえぐみから“えぐい”という方言がなまって「エゴノキ」となったという説もあるくらいこの植物のポイントになっています。
ほかにも、麻酔効果があることから川に流すことでウナギ漁などの漁業に用いられていました。
さて、エゴサポニンですが、水に溶かすとまるで石鹸のように泡立つことから、セッケンノキとも呼ばれ、昔は実際に石鹸としても利用されていました。
しかし、前述したとおり、エゴサポニンは有毒物質であるため、継続的な使用はお勧めできません。体内に入ってしまうと赤血球が破壊され、蕁麻疹や胃粘膜といった炎症を引き起こす恐れがあります。
なお、強い抗菌作用があるため同時に医薬品として用いられる成分であります。
さて、エゴノキにはいくつかの種類があります。
まずは、アカバナエゴノキです。別名ピンクチャイムとも呼ばれるアカバナエゴノキは、その名の通り、ピンク色の花を咲かせる園芸用品種です。エゴノキの花は通常白く、この花はピンクであるためより華やかな印象を与えます。
オオバエゴノキもその名の通り、通常のエゴノキより花や葉っぱが大きいです。沖縄などで自生し、樹高は7~8mほどにも達します。
こちらも名前通りですが、シダレエゴノキはその名前の通り、枝垂れて枝が下に向かって伸びています。鉢植えでも育てられるどちらかというとコンパクトなエゴノキの品種です。
ベニガクエゴノキは名前から花が赤と思われがちですが、花は白く、花びらは白色で、萼の部分が赤いのが特徴の品種です。
エゴノキの花言葉
エゴノキには花の大きさや色が品種ごとに異なりますが、高さ10mほどにもなる高木にたくさんの芳醇な香りを放つ花を咲かせるイメージからいずれについても「壮大」という花言葉が付けられました。
なかなか大きな樹木なのでその花言葉がつくのも納得できます。
まとめ
エゴノキは原則そのサイズから庭の樹木としておすすめですが、鉢植えに入る品種もあるので、ギフトにもできます。
薬になったり毒になったり、話題の尽きないエゴノキをプレゼントに、もしくはご自分の庭に植えてうんちくを語るのも良いでしょう。