秋の七草の1つに数えられるオミナエシ。春の七草に対し、秋の七草は目で見て楽しむものとされています。
そう言われている通り、青空の下で咲く、鮮やかな黄色の花が目をひきます。千年以上前から文学の世界にも登場し、日本人にとって縁が深い花です。
秋を感じさせてくれるオミナエシについてご紹介します。
女郎花(オミナエシ)の基本情報
- 科・属名:オミナエシ(スイカズラ)科オミナエシ属
- 学名:Patrinia scabiosifolia
- 和名・別名:女郎花、粟花(アワバナ)、血目草(チメグサ)、敗醤(ハイショウ)
- 英名:Golden lace, Yellow patrinia, Scabious patrinia
- 原産地:日本(沖縄以外)、中国~東シベリア
- 開花時期:6月~10月
- 花色:黄
- 誕生花:7月23日・8月16日・9月…4日、5日、9日、11日、19日・10月…6日、9日、22日、25日
女郎花(オミナエシ)の名前の由来、特徴、種類
オミナエシは、漢字で「女郎花」と書きます。名前の由来は主に2つです。1つは、オミナエシのオミナが女性を、エシが「圧し(へし)」を表し、美女を圧倒するほどの美しさを持つという意味からきているという説です。
もう1つは、オミナエシの見た目が粟に似ており、粟飯の別名を女飯(おみなめし)と言ったことから、転じてオミナエシと呼ばれるようになったという説です。
オミナエシは5枚の花びらを持ちます。花1つ1つはとても小さいですが、先端にたくさんの黄色の花を咲かせます。花房は15~20cm程度の大きさがあります。色持ちが良いので、切り花にしても長期間楽しむことができますが、悪臭が発生するので注意が必要です。
草丈は1m程度になります。茎の葉は深く裂けて羽のような形をしています。根元の葉は楕円形です。薬として使われることもあり、乾燥させて煎じたものを「敗醤」と言います。解熱・解毒作用があると言われています。
万葉集や源氏物語にもオミナエシは登場します。平安時代は衣を何枚も重ねていましたが、そのときの襲色目の中にオミナエシという組み合わせがあります。表が朽葉色という山吹色がくすんだような色で、裏が萌黄色という黄緑色のような色です。
オミナエシにも、いくつかの品種や仲間が存在します。オミナエシより小型で、東北から北陸にかけての山地の岩場に生える「ハクサンオミナエシ」、東北から近畿の太平洋側に分布し、同じく山地の岩場を好む「キンレイカ」などがあります。
ですが、最も有名と言えるのが「オトコエシ(男郎花)」だと思います。オトコエシは、オミナエシに似た白い花を咲かせます。オミナエシに比べて全体的に逞しいため、この名前が付きました。
また、同じ科で属が違う花で、「カノコソウ」があります。カノコソウは、別名を「ハルオミナエシ(春女郎花)」と言い、オミナエシに似ていて、淡い紅色の花を咲かせます。色味が優しく、かわいらしい花です。
女郎花(オミナエシ)の花言葉
- 「美人」
- 「佳人」
- 「儚い恋」
- 「親切」
- 「約束を守る」
- 「永久」
「美人」「佳人」は、オミナエシが美しさの例えになっていることに由来しています。
また、秋風に揺れる様子が寂しげであることから、「儚い恋」という花言葉が付きました。
オトコエシの花言葉は、「野生味」「慎重」「賢明」です。オミナエシより力強いので、「野生味」という花言葉が生まれたのでしょう。カノコソウの花言葉は、「適応力」「親切」「気さく」「真実の愛情」です。オミナエシと同じ花言葉がありますね。
カノコソウは精神不安定に効果があるそうなので、「適応力」はこうした特徴に由来しているのかもしれません。「真実の愛情」は、カノコソウの見た目とも合っていて素敵な花言葉だと思います。
まとめ
現在、オミナエシの自生地は減少しているそうです。
ずっと日本人に愛されてきた花であるにもかかわらず、当たり前に見ることができないのが残念です。
開花の時期が多少ずれているということもあるので、難しいとは思いますが、オミナエシ、オトコエシ、カノコソウが揃って咲いているところを一度見てみたいです。