アガパンサスは薄い青紫色の清涼感を感じさせる花の色が印象的な植物です。
茎の先にたくさんの小さな花が咲き、すっと立ち上がっている姿は優雅でしなやかです。どこか華奢な雰囲気の花ですが、意外と丈夫で案外街中の公園、さらには道沿いでも見かけることができる比較的メジャーな花ですが、愛の花と呼ばれるロマンチックな花でもあります。
そんな秘密を持つアガパンサスについて見ていきましょう。
アガパンサスの基本情報
- 科・属名:ヒガンバナ科アガパンサス属
- 学名:Agapanthus africanus.
- 和名・別名:アガパンサス・紫君子蘭(ムラサキクンシラン)
- 英名:African lily, Agapanthus
- 原産地:南アフリカ
- 開花時期:6月~8月
- 花色:白、ピンク、紫
- 誕生花:6月11日
アガパンサスの特徴と種類
アガパンサスは南アフリカを中心に20種ほどが自生しています。
そこから交配などで生まれた園芸品種は、300種以上です。その中で日本で主に育てられる園芸品種はアガパンサス・プラエコクス・オリエンタリスとアガパンサス・イナペルツスでしょう。
アガパンサス・プラエコクス・オリエンタリスは他の原種に比べると葉も花も少し大きく、葉は厚めで長さ60㎝程度、花茎も100㎝ほどに成長します。花色はバリエーション豊かで、白から濃い青、紫色です。
他のアガパンサスと少し見た目が異なる、ユニークなものが好みであれば、アガパンサス・イナペルツスが良いでしょう。細い筒状の花が下向きにたくさんつき、藤の花を彷彿とさせます。
アガパンサスの花言葉
アガパンサスの花言葉は、「恋の訪れ」、「ラブレター」そして「知的な装い」とプレゼントするにはピッタリのお花といえるでしょう。
属名の学名である「Agapanthus(アガパンサス)」は、ギリシア語で「agape(愛)」と「anthos(花)」が語源となっていることから、「愛の花」、つまり恋関連の花言葉につながったとも言えますが、ほかにギリシャ神話とのつながりもあります。
その花言葉はギリシャ神話におけるアガパンサスの花の誕生から知ることができます。ギリシャ神話におけるオリュンポスの最高神ゼウス、そしてその妻女神ヘラには、イリスという侍女がいました。ヘラは、イリスのことを非常に可愛がっていましたが、それはゼウスも同じでした。
しかしいつしかゼウスは主としてではなく、一人の女性として恋愛感情を抱いてしまっていたのです。
ゼウスは妻がいながらイリスへ求愛するため、それに求愛に困り果てたイリスは困り果てて、ヘラに「私をどこか遠くに行かせてください!」と頼みました。
ヘラは願いを聞き入れ、神の酒をかけてあげるとイリスは天空を結ぶ虹を象徴する女神となりました。
イリスにかかった酒が地上に落ちて、咲いた花がアガパンサスとされています。なお、この花がアイリスだという説もあります。ちなみにイリスは、仲裁の神でもあります。ギリシャ神話では出産の女神エイレイテュイアがいなければ子供が出産できません。
神話の中に、ゼウスの浮気相手のレトーが出産する際にヘラによって出産の女神エイレイテュイアが来られないようする話があります。その際に、陣痛に苦しむレトーのもとへ、ヘラに見つからないように出産の女神を運んであげたのがイリスです。
嫉妬深く、激しい気性の持ち主であるヘラの邪魔をしたのですが、とても珍しくヘラの怒りを受けなかったことからいかにヘラのお気に入りかであったかがわかります。そんな話もあり、自分勝手なギリシア神話の神々の中で善良な女神で、幸運を運ぶ要素を持っています。
そんな女神を象徴する花でありことから「恋の訪れ」、「ラブレター」。そして淡青紫色の涼しげで繊細な姿から「知的な装い」がついたとされています。
まとめ
見た目にも美しいアガパンサスですが、奥深い由来があるので公園などで見かけた際にはそのお話を披露してみてください。
きっとよい話のきっかけになるでしょう。涼しげな色合いは夏の時期にぴったり、育てやすい花なのでプレゼントにもおすすめです。