梅雨時になると咲き誇る花菖蒲(ハナショウブ)。
紫色の花からは高貴さを、凜と真っ直ぐ立つ姿からは気品を感じることができます。雨の日の憂鬱な気分も、花菖蒲を見ていると少し和らぐような気がします。
日本人にもなじみ深い花菖蒲についてご紹介します。
花菖蒲の基本情報
- 科・属名:アヤメ科アヤメ属
- 学名: Iris ensata var. ensata
- 和名・別名:玉蝉花
- 英名:Japanese iris
- 原産地:日本、朝鮮半島~東シベリア
- 開花時期:6月~7月
- 花色:紫、白、ピンク、黄、青、複数色
- 誕生花:5月…5日、8日、10日、20日、31日/6月8日
花菖蒲の名前の由来、特徴、種類
花菖蒲の名前は、「菖蒲(ショウブ)」に葉が似ていて、美しい花を咲かせることに由来しています。花菖蒲と菖蒲は同じ植物だと思っている方もいるかもしれません。しかし、花菖蒲がアヤメ科であるのに対し、菖蒲はサトイモ科であり別物です。端午の節句に菖蒲湯として使われるのは、「菖蒲」の方です。
花菖蒲の葉のお風呂も菖蒲湯に間違いないですが、まるで効能が違います。笑
玉蝉花(ギョクセンカ)という名前もあるようですが、これは中国語での呼称だそうです。
花菖蒲は、「野花菖蒲(ノハナショウブ)」の園芸種で多年草です。江戸時代から品種が行われ、5000種類以上あると言われています。花びらにも、3枚、6枚、八重咲きなどがあります。
有名な4種をご紹介します。
- 江戸系…品種数が多く、育てやすい。3枚の花びらを持つ品種が多い。
- 伊勢系…三重県で作られた品種。3枚の花びらで、縁がちりめん状になっていたり波打っていたりする。
- 肥後系…熊本県で作られた品種。大きな6枚の花びらの花を咲かせる。
- 長井古種…山形県長井市で保存されている品種。原種の特徴を強く残している。
アヤメやカキツバタとの違い
花菖蒲によく似た花で、「アヤメ」と「カキツバタ」があります。『いずれがアヤメかカキツバタ』という慣用句がありますが、どちらも素晴らしく優劣がつけ難いという意味とともに、見分けることが難しいという意味もあります。
というわけで、ここでクイズ!(?)
以下の画像から、菖蒲(アヤメ)、花菖蒲、杜若(カキツバタ)の違いを見分けられるでしょうか?
少し考えて(?)から下の説明を読んでみて下さい。
それでは、以下で「花菖蒲」、「アヤメ」、「カキツバタ」の見分け方をまとめました。葉や草丈にも違いがありますが、わかりやすい特徴として生息地と花を挙げました。
見やすいように、名前はカタカナに統一してあります。
・ハナショウブ…池や沼の近くの湿地
・アヤメ…乾いた場所
・カキツバタ…池や沼の近くの湿地
〈花〉
・ハナショウブ…花びらのつけ根に黄色の模様がある
・アヤメ…花びらのつけ根に網目模様がある
・カキツバタ…花びらのつけ根に白か淡い黄色の模様がある
アヤメは、漢字で「文目、綾目」と書くことがあります。これは、葉の様子や花の網目模様が由来になったという説が強いようです。
カキツバタは、漢字で「燕子花、杜若」と書きます。花の汁が染料として使われていたことから「書付花」と呼ばれ、転じてカキツバタになったと言われています。「燕子花」という漢字は、花の形がツバメの飛ぶ様子に似ていることにちなんでいるようです。
なので、菖蒲(アヤメ)は網目状で覚えて、杜若は白い生地に書きつけることから花弁の根本が白いと覚えれば、残ったものが花菖蒲なので、全部覚えられます。
ちなみに、菖蒲湯の菖蒲は、以下のガマの穂のようなものがそうらしいです。
引用:ウィキペディア(Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ.)
花菖蒲の花言葉
花菖蒲の花言葉には、以下のものがあります。
- 「あなたを信じる」
- 「信頼」
- 「優しい心」
- 「嬉しい知らせ」
- 「伝言」
- 「心意気」
- 「優雅」
学名や英名にIris(アイリス)という言葉がありますが、これはギリシャ神話に登場する虹の女神・イリスにちなんでいるそうです。花言葉もイリスに由来しています。イリスは、全能の神・ゼウスの妻・ヘラの侍女でしたが、ゼウスに求愛されてしまいます。
困ったイリスは、遠くへ行きたいとヘラに願い出ます。その願いが聞き入れられたことから、「嬉しい知らせ」という花言葉が生まれたようです。
そして、「あなたを信じる」「信頼」という花言葉は、浮気者のゼウスに対するメッセージと言われています。
「優しい心」と「優雅」は、垂れ下がるような花の形に由来しているようです。由来がはっきりと分からないものもありますが、良い意味の花言葉ばかりです。
まとめ
花菖蒲は好きな小説に登場する花なので、以前から少し思い入れがありました。菖蒲とアヤメとカキツバタが違う花ということを知っている程度だったので、きちんと調べる機会を得ることができて良かったです。
日本原産の花なので当たり前ですが、「高貴」、「凜」、「気品」、「優雅」、「誇り」など、日本人が好きそうな言葉が似合う花だと思います。
群生しているところをまだ見たことがないので、1度見てみたいです。