サルスベリは、「百日紅」と書くこともある花木です。一般家庭でも、少し広い庭がある家には植えられているイメージがあります。
個人的には漢字表記の方が好きなのですが、子供の頃に初めて名前を知ったとき、その由来に疑問を持ったことを思い出しました。
そうしたことも含めて、サルスベリについてご紹介したいと思います。
百日紅(サルスベリ)の基本情報
- 科・属名:ミソハギ科サルスベリ属
- 学名:Lagerstroemia indica
- 和名・別名:百日紅、怕痒樹(ハヨウジュ、ハクヨウジュ)
- 英名:Crape myrtle
- 原産地:中国南部
- 開花時期:7月~10月
- 花色:赤、白、ピンク、紫
- 誕生花:7月…18日、24日、31日/8月…5日、27日、29日
百日紅(サルスベリ)の名前の由来、特徴、種類
名前にはいくつかの由来があるようです。「サルスベリ」という名前は、幹の特徴に由来しています。サルスベリの幹は、太くなるときに古い樹皮が剥がれ落ち、新しい樹皮が現れます。この新しい樹皮は、つるつるした感触です。
すなわち、猿が登ろうとしても滑ってしまう(=猿滑)ことから名づけられたのです。そのまま猿滑と表記することもあるそうです。実際は、猿は滑ることなく登ってしまいます。
「怕痒樹」という別名は、難しい漢字が使われていますが、幹をくすぐると葉が細かく揺れることに由来しているそうです。
「百日紅」という名前ですが、「サルスベリ」と読ませるものと、音のまま「ヒャクジツコウ」と読むものがありました。厳密な使い分けがあるのかどうかは不明ですが、両方使うことができると思っておいて良いと思います。漢字の通り、約100日間にわたり花を咲かせることに由来しています。単体の花は数日で散ってしまいますが、つぎつぎに開花するため、長期間楽しむことができます。
もう1つ、名前についての伝説がありました。
『昔、旅をしていた王子が、竜神を倒し生贄に捧げられていた少女を助けました。2人は恋に落ちますが、王子は旅を続けなければならなかったため、100日後の再会を約束します。しかし、再会できないまま、少女は亡くなってしまいます。そのことを知った王子はひどく悲しみました。その後、少女の墓から美しい紅色の花が咲き続ける木が生えてきました。そしてその木は「百日紅」と名付けられました。』
こんな悲恋の物語があったかと思うと、サルスベリの見え方も少し変わる気がします。
サルスベリは、病気にさえ気を付ければ比較的育てやすい植物で、全国の公園や寺院にもよく植えられているようです。名所として有名なところでは、新宿御苑、泉涌寺、京都御苑、東大寺などがあります。
中国でも、唐時代の長安の紫微(宮廷)にたくさん植えられていたそうです。花びらは6枚で、ちりめんのように縮れています。華やかですが、繊細さも感じる花です。花が終わると実をつけます。
有名な種類は、以下のようになります。
- 島百日紅(シマサルスベリ)…沖縄や台湾に自生。白い花を咲かせる。
- 大花百日紅(オオバナサルスベリ)…東南アジア原産。バナバ茶として飲まれる。
- 一才百日紅(イッサイサルスベリ)…矮性。30cmほどの高さにしかならない。
- サルスベリ・カントリーレッド…紅色の花を咲かせる。
百日紅(サルスベリ)の花言葉
サルスベリの花言葉は、次の通りです。
- 「雄弁」
- 「愛嬌」
- 「不用意」
- 「活動」
- 「世話好き」
- 「あなたを信じる」
- 「潔白」
愛嬌、不用意
幹の特徴に由来しています。つるつるしていて、木登りが得意な猿も滑ってしまうことから連想される言葉のようです。
雄弁、活動、世話好き
華やかにたくさんの花を咲かせる様子にちなんでいます。
あなたを信じる、潔白
先ほどご紹介した、王子と少女の伝説にもとづいています。少し統一性がないというか、方向性の違う花言葉が存在している点が印象的です。
まとめ
いままで意識して見ていなかったからかもしれませんが、サルスベリが全国的に、有名な観光名所にも植えられていることが意外でした。名前の読みと漢字が一致しない点については、幹と花それぞれに由来しているということがわかり、納得しました。
見た目や咲き方だけではなく、悲しい伝説が背景にあるということも知ることができて良かったと思います。ただ、花言葉については、もう少し花に見合う言葉があったのではないかと思いました。
種類について調べていると、冒頭にも書きましたが、やはり漢字表記の方が綺麗で好ましいです。